馬喰町にはおいしい焼肉店がそろっていると聞きます。周辺は複数の駅が徒歩圏内にあるため、あらゆる場所からこの場所に向かいやすいこともあり、出店が続いているのでしょう。待ち合わせをする際には、駅から近い場所を選ぶのが一般的であるため、馬喰町のような場所は喜ばれると思われます。このように恵まれた場所は飲食店が乱立しやすい傾向がありますが、お店そのものの傾向も気になります。
馬喰町の焼肉店を見てみると、駅周辺800メートルに17件のお店があります。やはり人気なのは駅から近く、ランチもディナーも楽しめる上に、素材にも一切妥協しないお店であることが分かります。いわゆる、お客様目線で営業している店であり、価格面でも来店を躊躇するような金額設定ではない店となっています。現在は、おいしいものが食べられることと、価格が高いことはつながらないことも多くなってきました。どういう意味かというと、いわゆる価格を抑えている店の中にも素材にこだわり、高級店と同じようなレベルの食事ができる店がでてきたという意味です。
いわゆる「コスパのよい店」というのは、大きく2つのパターンに分かれます。一つは、仕入れ先にこだわり、中間マージンをカットするなど経費面を熟考してコストを抑えているパターン。もう一つは、店の経費として大きくのしかかる人件費を抑えることで材料費に重きを置いているパターンです。前者の場合は、仕入れ先をある程度確保して信頼関係が必要とされるでしょう。業界に長くいるオーナーなどは直接仕入れやすいと思いますが、それで選ばれる店でなければ取引は成立しません。また、複数箇所そのようなところを確保していないと、仕入れ先に何かがあったときに店を開けられなくなることもあります。ここまでくると、ビジネスになってしまいますが、店を経営して従業員を雇っている以上はお金の問題を無視するわけにはいかないのです。
一方で後者については、馬喰町の焼肉店ではあまり見られないと感じます。チェーン店で食べ放題をうたっている店に多いパターンです。食べ放題だから肉質が悪いのは過去の話となっており、今では一定以上のレベルの国産和牛を食べられる店が増えてきました。このような店は原価率が高いため、どうしても従業員の人数を抑えたり、オーダーなどをシステム化しています。食べ放題の焼肉店であっても、席についたまま食べたい肉皿を持ってきてくれる店が増えています。オーダーの度に従業員が出向くのではなく、テーブルからオーダーできます。このシステムはオーダー間違いもありませんし、席を立つこともないので衛生的にもメリットがあるでしょう。
食べ放題の店は数多くありますが、焼肉の場合は生の食材となるため、衛生面を気にする方が多いといえるでしょう。さらに、生肉はカットしてから空気に触れると急速に劣化していくので、おいしさが半減してしまいます。現在はお客様が馬喰町の焼肉店に求めることも大きくなっており、食べ放題でありながらも内容はコース料理のような内容を求めています。業界の競争を勝ち抜くためにはお客様から選ばれる店でなければなりません。当たり前においしいものが食べられる日本では、お客様の要望は年々増していることも確かなので、店側の競争は激化しているといえるでしょう。さらに、食料そのものの価格も高騰しているので、仕入れ価格も同時に高騰しており、頭を悩ませていると聞きます。馬喰町という人が常にいきかうエリアであってもその傾向が見られるので、人がそこまでいきかわないエリアとなると、少ないお客様の奪い合いが起きているはずです。焼肉店を経営することはさまざまな問題を解決する能力が必要で、一筋縄ではいかないことを認識させられます。